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法螺男爵旅土産 By: Kuni Sasaki |
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Notes on the signs in the text 《...》 shows ruby (short runs of text alongside the base text to indicate pronunciation). Eg. 其《そ》 | marks the start of a string of ruby attached characters. Eg. 十三|年目《ねんめ》 [#...] explains the formatting of the original text. Eg. [#ここから字下げ] 佐々木 邦譯述 法螺男爵旅土產 東京 内外出版協會 法螺《ほら》男爵《だんしやく》旅《たび》土產《みやげ》 佐々木邦譯 暴風《ばうふう》と胡瓜《きうり》の樹《き》の話《はなし》 拙生《せつせい》の髯《ひげ》が丁年《ていねん》到逹《たうたつ》の宣言《せんげん》をする以前《まへ》、もつと碎《くだ》いて申《まを》せば、最早《もはや》子供《こども》でもなく、さりとて未《いま》だ大人《おとな》でもない頃《ころ》、拙生《せつせい》は世界《せかい》觀光《くわんくわう》の渇望《かつばう》を口癖《くちくせ》のやうに洩《も》らしてゐた。ところが待《ま》てば海路《かいろ》の日和《ひより》とやらで、父《ちゝ》はセイロン島《たう》への航海《かうかい》に拙生《せつせい》の隨伴《おとも》を御許可《おゆるし》になつた。セイロン島《たう》には父《ちゝ》の叔父《をぢ》に當《あた》る人《ひと》が、知事《ちじ》として最早《もう》長《なが》い事《こと》居《ゐ》る。 我等《われら》はホルランド王室《わうしつ》の國書《こくしよ》を奉戴《ほうたい》してアムスターダムに纜《ともづな》を解《と》いた。此《この》航海《かうかい》中《ちゆう》一寸《ちよつと》記載《きさい》の價値《ねうち》あるのは暴風《ばうふう》の起《おこ》つた事《こと》である。それが尋常《じんじやう》一|様《やう》の暴風《ばうふう》でなく、我等《われら》が薪水《しんすゐ》を取込《とりこ》みに碇泊《ていはく》してゐた島《しま》の、高樹《かうじゆ》大木《たいぼく》を根拔《ねこぎ》きにした。啻《たゞ》に根拔《ねこぎ》にしたばかりでない。其中《そのうち》には何噸《なんとん》といふ重量《おもい》のがあつたけれど、其《それ》が風《かぜ》に攫《さら》はれて、果《は》ては宛然《まるで》空中《くうちゆう》に漂《たゞよ》ふ小鳥《ことり》の羽毛《はね》のやうに見《み》えた。少《すくな》くとも海拔《かいばつ》五|哩《まいる》の所《ところ》に逹《たつ》したのであらう。そして暴風《ばうふう》が止《や》むか、止《や》まないに、其木《そのき》が夫《そ》れ〴〵舊《もと》の所《ところ》に垂直《すゐちよく》に落《お》ちて再《ふたゝ》び根《ね》を張《は》るには拙生《せつせい》も一|驚《きやう》を喫《きつ》した。しかし一|番《ばん》大《おほき》い奴《やつ》は空中《くうちゆう》に吹上《ふきあ》げられた時《とき》、其枝《そのえだ》に木訥《ぼくとつ》な百姓《ひやくしやう》の老夫婦《らうふうふ》が乗合《のりあは》せてゐた。乗合《のりあは》せてゐたと... Continue reading book >>
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